ティジェッレとピアディーナ
エミリア・ロマーニャ州には粉もんが沢山ありますが、その中でも特に知られている、ティジェッレとピアディーナの平焼きパンについて書きたいと思います。
ティジェッレ(単数はティジェッラ)
エミリア地方の平焼きパン
エミリア・ロマーニャ州は東西に長い州で、エミリアとロマーニャの2つの地域から成り立っています。
ティジェッレはボローニャから西側のエミリア地方、モデナとボローニャでよく食べられているパンです。
食事パンとしてもですが、厚さを半分に割って、具材を挟んで食べられることが多いです。
調理道具
上の写真は家庭用のティジェッレをつくるアルミ製の道具です。ハンドルを開いて生地をサンドし、火に掛けます。焼き時間は5分くらいです。
写真のもので7個焼けます。大きさはイングリッシュマフィンと同じくらいで、厚みが半分といったところです。
ボローニャのレストランに居た時は、毎日ティジェッレを焼いていましたが、プレスメーカーで作っていました。(関西の人なら分かる、イカ焼き器みたいなものです)
そのプレスメーカーは全面フラットだったので、家庭用のような花柄は出来ませんでした。
元々はテラコッタや石で
今のような道具が無かった頃、元々はパン生地を円盤状のテラコッタや石に挟み、暖炉にくべて焼いていたそうです。
その円盤状のものをティジェッレと呼んでいて、ラテン語の「包む、蓋をする」という単語を語源にしているそうです。
昔のティジェッレの型ですが、今のものより大きく、直径15cmほどあります。模様が彫られているので、飾ったり、鍋敷きにリユースするのがぴったりです。
ボローニャ周辺の蚤の市に出品されていることがあるので、運が良ければ出会えるかもしれません。
ピアディーナ(ピアーダと呼ぶ事も多いです)
ロマーニャ地方の平焼きパン
エミリア地方はボローニャまで、それより東のロマーニャ地方のパンです。
実際の所その周辺、ボローニャや、州境のマルケ、トスカーナでも食べられています。
去年ミラノに行った時に、ピアディーナのお店が沢山出来ていてびっくりしました。ファーストフードとして優れているからだと思います。
大きさ、厚さ、発酵、無発酵色々
材料は小麦粉、塩、水、ラード若しくはオリーブオイル、イーストか重曹を使います。
厚さ2~3mm、歯切れの良い生地が私の好みです。このタイプは南ロマーニャでよく作られるもので、北は南のものより小さくて、厚みが有り、ふわっとした生地になります。
一度厚めの生地(4mm位)を食べた時に、生焼けだったことがあって、そのせいか薄い生地派になりました。もちろん見せれば作り直してもらえるので、生焼けの生地に当たったとしても、そのままにしないでくださいね!
ピアディーナの語源はギリシャ語かラテン語、方言のどれかはっきりしないのですが、どの言葉にしても「器」という意味が共通しているそうです。
ファーストフードとして
イタリア全国的な知名度はピアティーナに軍配が上がると思います。
ファーストフードとして同じようにハムやチーズの具材を挟んでも、ティジェッレだとひとつ食べただけではお腹が満たされないんです。
ピアディーナなら直径20cm以上はあるので、ひとつで満足出来るんですよね。
そこが大きなポイントで、ティジェッレの町であるボローニャでも、ティジェッレだけのお店はなくて、ピアティーナと一緒か、ピアティーナだけの店があるという状態です。
終わりに
日本ではティジェッレの方が新鮮に映るでしょうか。東京には専門店があるようですし、どちらももっと知られるようになって欲しいなと思います。
ちなみに我が家ではティジェッレを一度に14個作って冷凍保存し、トースターで焼いて朝ご飯にしています。塩気のものをサンドするだけでなく、甘いものを塗っても美味しいです。朝ご飯くらいに丁度いい大きさなんです。
以上、ティジェッレとピアティーナについて、思い出を含めて書きました。