マファルダ シチリアのパン

イタリアのパンは各地の食材や歴史と結びついて、それぞれに特色があります。今回はシチリアの形が特徴的なマファルダ(複数はマファルデ)というパンについてのあれこれを。

唐突ですが、我が家はすり胡麻をよく使います。あまり使わない煎り胡麻が余っているので、何か作らないとなぁ、と思い付いたのがマファルダ。ごまとカリッとしたパンのクラストの食感を味わいたい!と思い立って作りました。

このパンは蛇の形だそうです。イタリアの薬局や救急車のエンブレムになっているアスクレピオスの杖に似ています。

名前の由来、歴史と形

名前の由来も諸説あってはっきりしていないようですが、よく言われているのはサヴォイア朝ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世のマファルダ王女からとされています。

マファルダ王女

サヴォイア朝は現イタリア共和国になる前のイタリア王国のことです。ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は3代目王になります。ちなみにイタリア各都市の目抜き通りの名前で「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世」がありますが、それは初代王のことで、イタリアを統一した功績を称えて名付けられています。

マファルダ王女は国王の次女で、母である王妃と共に第一次世界大戦中はイタリア各地の軍事病院を慰問していました。

シチリアを来訪した際にカターニアのパン屋さんがマファルダのパンを作ったと書かれているものがあったので、慰問と関連して蛇の形なのかなと推測しました。

王女はその後ドイツの貴族と婚姻しています。第2次世界大戦中悲劇的な最期を迎えました。ググって切なくなってしまった次第です。。

形と大きさ

マファルダ王女が由来だとしたら、比較的歴史が浅いパンになりますが、同じ生地と胡麻の組み合わせで、王冠や貝を模したりと、形が違うものが18世紀頃から現在も存在しています。

シチリア産のセモリナ粉とアラブの食文化から来た胡麻を合わせたというのが、彼の地ならではの特徴です。表面はしっかり、カリッと、中はふんわりしていて、マファルダの場合は成形する際に、どれだけ蛇のS字を繰り返すかで大きさと長さが変わってきます。私が作ったものはパニーニにできるサイズ感です。長く大きくすれば、カットして食事用のパンになります。

自由に旅行できる時が来て、シチリアに行く機会ができれば、チェックして欲しいパンです。