2つのカポナータ

先日「野菜のトマト煮」の作り方の動画を投稿しました。
それとよく似ているけれど違う「カポナータ」について書いてみます。

シチリアのカポナータ
ナスをメインにそれぞれ下準備した材料をトマトベースの甘酢のソースで和えた料理。
イタリア国内では伝統農業食品(PAT)として認定されています。(食材だけでなく、歴史のある料理やお菓子も選定されています)
地域によって材料は若干変わってきます。上の写真はナスとパプリカ、香味野菜とオリーブやケイパー、ハーブを入れて作りました。
元は魚料理
カポナータの名前はシチリアの方言でカポーネ、魚のシイラが由来です。
魚料理は高価だったので、シイラを使う所を茄子で代用したのが広まって、現在の形になりました。
食べ方、ナス以外は?
前菜や付け合わせとして食べられていますが、元々はパンと一緒にワンプレートとして食べられていたようです。
ナスのないシーズンはじゃがいもやアーティチョークなどを使って作られています。じゃがいもも美味しいですよ。

ナポリのカポナータ
トマトをメインにした具材を、フレセッレ(プーリア州ではフリセッレ、フリーセ)という堅焼きのパンに乗せて食べる、火を使わない料理。
夏のポーヴェロ料理
写真はトマト、オリーブ、ツナ、モッツァレラとハーブで作りました。
フリセッレ(プーリアの呼び方がよく知られています)は日本では見たことがないです。水分が無くなるまで焼いているので、長期保存できるパンです。水で好みの固さに戻してから具材を乗せます。
どちらも夏の料理
以上2つのカポナータでした。イタリアでもナポリのものはあまり知られていません。日本でもフリセッレが広まらないと無理かなぁと思います。
シチリアのものは甘酸っぱい味で食欲をそそり、ナポリはあっさり軽くて食べられちゃうという感じです。
夏の食材との別れを惜しみつつ今回作りました。
じゃあ、動画のトマト煮はなんと呼ぶのか(追記)
全国的には「ミックス野菜のトマト煮」という感じで、南イタリア風にいうと「チャンボッタ」、「チャンフォッタ」と呼ばれています。
炒めた野菜をトマトで加熱するという調理法です。フランスっぽくラタトゥイユと言う場合も…。
それぞれ火を通した材料を酢と砂糖を入れた甘酢のトマトソースで和えるシチリアのカポナータとは、区別されています。